ふるはし よしこ の日記

J.S.Bachの音楽に魅了された美術家の日記

空気

オンラインで伝わらないもの、空気。

 

旅をして感じたいものは、

そこにある空気の匂いや温度、

空気を伝わってくる音や色だ。

 

 

私が美術から音楽にシフトしたきっかけは

2011年の東日本大震災だった。津波によって

全てのものが混ぜこぜになってしまう。

何のために作品を作っているのかを

問い直す機会だった。ものではない

音を作ること、見えない音を見えるようにすることに関心を持った。

 

 

音楽から学んだこと…

声楽では、まさに「空気」

そのものの扱い方、それから

アンサンブルの尊さである。

 

ひとりで考え行動しがちなアーティストは

自分を捨て、空気を読んで

人と合わせること

美しい音を作るために

心を合わせることを

アンサンブルで体験した。

伝え合うためには、空気が必要だ。

 

コロナによって、その大切な空気が

危険を孕むものとなってしまった。

 

しかし…

別々の空間にいる人を結び付ける技術が

新しい形のアンサンブルを作り出している。

また、演奏会の新しい形としては

ライブ配信が始まっている。テレビの

生放送のような感覚だ。

 

空気や空間の共有が理想だが、

新しい演奏会は、時間を共有することによって感動が生まれている。

例えば、海外で開催される演奏会のライブ配信を、自宅で鑑賞することもできてしまう。

私が先日Facebookで鑑賞した

「バッハマラソン」では

演奏中に鑑賞者のリアクションが表示され

世界中からメッセージが届いていた。

鑑賞している人の数までわかってしまう。

このようなイベントは大成功と言えるだろう。

 

これからの音楽イベントが

どうなって行くのか、楽しみだ。